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職人としての生活
地獄の犬小屋みたいなところで生活してます(笑)

お休みはどれくらいありますか?
休みは自分で決めることができるので、だいたい週1回くらい休んでいます。基本的には日曜日を休みにして、月曜日から土曜日働いている感じです。けど土曜日休もうと思ったら代わりに日曜日に働いたりとか、木曜日休もうと思ったら日曜日に働いたりっていうこともあります。

1日の労働時間はどれくらいですか?
それもまちまちで、基本的には9時から18時なんですけど、時には24時間ずっと鞄を作っていることもありますね。ここの場所は時間関係なくずっと使わせてもらえるんです。まあでも結局サイクルがちゃんとしていないからあんまりよくないんですけどね(笑)本当に納期が差し迫っているときとかじゃないとそんなことはあんまりしないです。でも24時間鞄作ってても全然疲れないんですよね。好きなことなんで。と言いつつも、メリハリを付けるっていう意味ではやっぱり休みも定期的にちゃんと取ったほうが生産性も上がりますし、時間管理はしっかりしていきたいと思っています。

ぶっちゃけ、金銭的には食べていけてますか?(笑)
いやぁ、際どいですねぇ(笑)具体的に言うと、最近までは1日の食費100円で過ごしていました。前まではシェアハウスに住んでいて、お米をいくら食べても無料だったので、なんとかそれでやっていけてましたが、今は一人暮らしを始めて、お米代がかかるということもあって、1日100円では難しくなってきたんですけど。

凄腕節約家ですね(笑)
まあ僕多分、一ヶ月一万円生活出たら優勝しますよ、軽く(笑)で、今は京都市内に住んでるんですけど、家賃・光熱費入れて2万円くらいなんですよ。

え(汗)すごい(汗)
地獄の犬小屋みたいなところで生活してます(笑)風呂トイレなくて、ドア開けたら窓だけみたいな。今はその辺の生活費を切り詰めて生活してなんとかやってますけど、最悪の月は、それですらマイナスっていう(笑)税金もありますしね。ここに来る前の所得に対する税金がすごくて、食費何十ヶ月分やねんみたいな(笑)

なかなかハードな感じがしますが、辞めようと思ったことはありますか?
全然ないですね。

辛いと思うこともないですか?
全然辛くないんです。それで、辛くなさすぎてダメだなと思ってるんです(笑)誰かに勝ちたいとか蹴落としてどうこうするとか、本当にそういうのないんですよ。それで、今の生活も端からみたらヤバいじゃないですか?食費も100円で、ワケのわからん地獄の犬小屋住んでて(笑)でも全然辛くないから、他の経営者の人とこういう話してると、「お前それあかんやろ、最悪や。それで良いと思ってたらいつまで経っても鞄で食べてけへんで。」って言われるんですけど(笑)まあ確かにそうだなって思うんですけどね。だから、自分のお店を持つかわからないですけど、お店を持てるくらいの稼ぎはちゃんとしていかないとダメだなっていうのはありますね。

今後のビジョン
もう僕はずっと鞄作っときたいですね

今後はどのような活動を行っていくのでしょうか?
師匠が口癖のように言うことがあって、誰もしなかったことをしろ、誰もしていないことをしろって毎日言うんですよ。実際、師匠はそれをずっとやってこられた人で、その姿を見ていて僕も今の鞄職人がやっていないことをやっていきたいなと思っています。例えば、今度僕がやりたいと思っていることが、カバックを買ってくれた人皆で集まって河原町四条から三条まで歩いて、三条大橋をカバックで占領して、全員で川の方見て、それで歩く展示会みたいなのをしたいなって思ってて。それで、そこから市バスに乗って、カバックでバスジャックして動物園に行ってカバを見てゴール!みたいなイベントとか。鞄職人の人ってあんまりそういうことする人がいなくて、表舞台に出る機会がないというか。そういう面では、僕はそういうことがけっこう好きで、面白いことしたいなっていうのが強いので、他の人がしないようなことを楽しみながらやっていけたら良いなと思ってます。

イベントとしての楽しさもありますし、広告としての効果も期待できそうですね。
そうですね。人とこうやって喋ったりとか、イベントに行って喋らせてもらうのもけっこう好きです。でもやっぱり、、もう僕はずっと鞄作っときたいですね(笑)全く人との繋がりがなくなるのも嫌なので、天邪鬼なのかもしれませんが、表舞台に立ちつつ、徹底した鞄作りをやっていきたいなと思ってます。

未来の職人へのメッセージ
本気でそれをしたいのかっていうのを本気で問いかけまくった方が良いと思います

職人を目指す人に向けて、アドバイスをお願いします。
独学で勉強していることって、役に立つときもあると思うんですけど、多分ほとんど役に立たないと思うんですよ。何の仕事にしても、素人が勉強したことがプロの世界で通じるかっていうと、切り口も視点も考え方も全然違うじゃないですか。そこで独学で勉強したことがそのまま役に立つってことは、そんなにないと思います。それよりも先に、やるならやるで、本気でそれをしたいのかっていうのを本気で問いかけまくった方が良いと思います。もし好きじゃなかったら、地獄なんですよ。ものづくりの世界って。だって社長に24時間働いとけって言われたら嫌じゃないですか。残業なんて関係なしで、それこそブラック企業なんて言われてる会社でも比べものにならないじゃないですか。けど24時間やっていても全然疲れないし、めっちゃ楽しい!最高!みたいな感じで言ってるぐらいの好きじゃないと多分続かないと思います。ああやらなかったら良かったなって思うんだったらやっぱりやらない方が良いと思いますし。趣味でも良いんだったら趣味で留めておいた方が良い世界だと思います。

なるほど。自分への問いかけが大事だと。
本当にやりたい!ってなって、次のステージに行くんだったら、業界トップくらいの一流のところで学んだほうが良いと思います。正統な技術も学べますし、その人の商いに対しての考え方も勉強できます。やっぱりそういう人ってずっとその業界で食えていってたわけですから、そんな方の背中を見ながら仕事をするっていうのはやっぱりすごい刺激がありますね。今なんて1日100円150円とかで生活していますけど、もしかしたら自分も生活できるようになるんじゃないかなっていうビジョンを描き易くなりますね。誰に教えてもらえるかで学びのスピードが全然違います。そこは本当に妥協しない方が良いと思います。

もし川本さんのところに弟子入りしたいって人が来たらどうしますか?
うーん。多分無理なんですよね。僕の師匠は、金銭的にもゆとりがあるし、全然教えてやるっていう気概もある方なので良かったんですけど。例えば、僕が10年後に大成して、普通にもう食っていけるってなっていたとしても、僕に教えられる余裕があるかって言われたら、それはもうわからないですよね。教えてあげたいですけど。教えるってなったらやっぱり付きっ切りじゃないと教えてあげられないじゃないですか。だから、ものづくりを引き継いでいくってことは、本当に難しい部分になってくると思います。

川本さん自身のビジョンも含めて、これから職人を目指す人はどこに向かうべきでしょうか?
職人だからこそやってて意味があることをしていったら良いと思います。つまり、大量生産ではできないことですね。例えば、その人が欲しい鞄をオーダーメイドで作るっていうのも大量生産ではできないことじゃないですか。その人が欲しいものをその形にする。多分これからテクノロジーがどんどん進化していったとしても、そんなすぐにはそれができないと思うんですよ、現実的に。この間僕の友達が送ってきてくれた鞄があって、お母さんが新入社員で働き始めた時に買った鞄で、3、40年前のものらしいんですよ。それをリメイクして新しく鞄を作って欲しいっていう注文だったんですけど、これも大量生産ではできないことですよね。大量生産で作れるような鞄を作っても、それって売れるかもしれないですけど、それこそ中国とかベトナムに任せておいたら良いことで、僕がしなくても良いじゃないですか。だから、僕は僕でその人に合った鞄を作っていけたら良いなと思ってます。
取材を終えて
京都駅から市バスに揺られて40分ほどの閑静な住宅街に工房はありました。そこに颯爽と自転車に乗って登場したのが川本さんです。のっけから至極爽やかで元気ハツラツ。世間で言われている職人像からは程遠く、まさに学校の人気者といったタイプだと感じました。お話をさせていただく内に、ものづくりに対する姿勢はもちろん、物事を論理的・客観的に考えることに長けており、ご自身のブランドを経営されている起業家としての魅力も感じることができました。独自の視点でものづくりを実践する鞄職人 川本さんの今後に期待せざるを得ません。

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