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村口 実梨Mari Muraguchi (左)
1988年愛知県豊橋市出身
名古屋芸術大学デザイン学部デザイン学科テキスタイルコース卒業。
伊藤 木綿Yuu Ito (右)
1988年愛知県名古屋市出身
名古屋芸術大学デザイン学部デザイン学科テキスタイルコース卒業。
大学の同級生であった二人は、卒業後、名古屋の伝統工芸・有松絞り職人ユニット「まり木綿」として活動を開始。これまでにないポップな色使いが特徴の商品で話題を生み、多方面から注目を浴びている。現在、久野染工場にて制作を行い、名古屋市有松に店舗を構え自ら店頭に立ち販売を行っている。

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シルクドソレイユのサントラを聴いて思い返して妄想してます(笑)
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最近はインスト系の音楽にハマってて、『Schroeder-Headz』とか聴いてます♪
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単発でハマるってことがあまりなくて、習慣になっちゃうんですけどヨガかな。
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何でも聴くので、アイドル系以外なら大体。この前はマリリンマンソンのライブいきました♪(笑)
絞り染めについて
絞り染め(しぼりぞめ)は布地を糸で縫う・括るなどしたり、畳んで板で挟むなどして防染(布地に染液が染めつかないようにすること)し、染液に浸すことで模様を作り出す染め技法の一つで、絞りと略される。
有松における絞りの歴史は約400年と言われており、その始まりは江戸時代、東海道を行き交う旅人に土産物として販売し始めたこととされている。そのため、京鹿の子などの高級絞りと呼ばれるものと比して庶民的なものとされ、手ぬぐいや浴衣など手に取りやすいものを染めていた歴史がある。100種類以上の技法が使われており、現存する数は不明であるが、現在も有松の地において脈々と受け継がれ、国内最大の絞り産地とされる。
絞りの工程
完全分業制とされ、各工程において専門の職人が担当していくことが主である。

絞り職人になるまで
偶発性がすごく面白い

お二人とも愛知県ご出身ですが、絞りには幼いころから興味があったんですか?
伊藤:絞りがあること自体は知っていたんですけど、絞りのポーチや小物入れというのはおばあちゃんが持っていて、幼心にあまり可愛いと思わなくて(笑)あまりいい印象もなく、そこまで興味もなかったのが本当のところです。

なるほど。お二方とも大学でテキスタイルを学ばれていたということですが、そこに有松絞りに関わっていくきっかけがあったんですか?
村口:地場産業との連携という授業があり、その中で有松絞りを習いました。その授業に、SOU・SOUの社長さんが講師としてみえていて、私と伊藤が作ったデザインの生地を気に入ってくださり、学生の内に、SOU・SOUの商品として販売する機会をいただいたんです。それを何回か経験させていただく内に二人で絞りの商品を作る仕事をしないかというご提案をいただきました。それが直接的なきっかけになります。

絞りのどういったところに魅力を感じて、仕事にしていこうと思ったのでしょうか?
伊藤:絞りの中にもいろいろな技法がありますが、その中で最初に板締め絞りというものをやったんです。絞り全般に言えることですが、同じものができないというのが特徴で、同じ工程で同じ色で同じ柄に染めても全然違うものができたりするんです。そういった偶発性がすごく面白いと思って。その時、一番最初に染めたものは紺色一色だったんですが、色を入れてやってみたら面白いんじゃないかなと思って色々実験的にやっていきました。なので、最初に板締め絞りと出会ってなかったら、もしかしたら面白いと思ってなかったかもしれないですね。
板締め絞りとは?
「板締め絞り」とは、有松を中心に栄えた絞り技法の一つ。畳んだ生地の両端を板で挟み、染料に浸して染めていく。畳みや染色の工程、さらには偶発性による仕上がりの多様性が特徴。

まり木綿さんの行う板締め絞りには、どんな特徴があるんですか?
村口:板締めの中でも種類があって、これは二等辺三角形に折ってるんですけど(写真参照)、二等辺三角形や正三角形、麻の葉折りなどがあり、雪花絞りとも呼ばれていて、文字どおり雪の花みたいな柄が出るのが特徴の絞りです。板締め絞りは板に挟んだら何でもOKで、丸やウサギ型、星型まで結構何でも自由に挟んで染められるんです。そこから私たちはアレンジして、折り方を変えたり、筆で染色して柄を細かく出すようにしたりして、他とはちょっと違った染色方法をとっています。

お店をオープンされたのはいつ頃でしょうか?
村口:学校を卒業したのが2011年3月で、その年の5月25日にお店をオープンしました。

学校を卒業されてすぐだったんですね。資金はどうされたんですか?
村口:資金ほぼ0ですね(笑)今工場をお借りしている久野染工場さんに借りて、材料などの必要物資だけを仕入れていって、後は自分たちで払えるものは払うという感じでした。しばらくは、まり木綿の仕事と並行してアルバイトをしていました。まず交通費が稼げない状況だったので。

かなりスピード感のある進展でそれなりにリスクもあったかと思いますが、ご家族はどのような反応でしたか?
伊藤:私の場合は、父が美術をやっていたりして、理解してくれる環境があったので、好きにやってみたらいいよという感じでしたね。止められることはなかったです。
村口:私はちょっと反対されましたね。親もそんなに絞りのことを知らなかったというのもあると思うんですけど、それで食べていけるのかっていう部分を心配していました。新しい土地に行ってそこに拠点を置くっていう人が家族の中でも私しかいなかったので、親からしても、自営業なんて手探りすぎてどうなっていくのか不安だったみたいです。でもやりたいって決めたなら頑張ってねと応援はしてくれていて、私が取り上げていただいた新聞も切り抜いたりしてくれているみたいです。心配しつつも、興味は持ってくれてたんだなって思います。

職人デビューからの軌跡
自由に、独自のやり方でやってきた

デビュー以来、様々なメディアに取り上げられていますよね。産地でも期待のホープだとか。
伊藤:おかげさまで、ようやく今、5年6年やってきて、産地の人とも仲良くなれているんですけど。やっぱり最初の方は”外から入ってきた若い子”や”長く続かないでしょ”という印象を持たれていたと思います。ここ数年でようやく産地の方々とお話しさせていただける機会や一緒に企画させてもらえる機会も増えてきて、最初の頃と比べると、周りからの印象は変わったかなという気はします。

敬遠されたりとかっていうのはなかったですか?
伊藤:最初の方はあったと思います。私たちは代々継ぐ絞りの家のものでもなく、大学で習って面白いと思って始めました。身で感じてはいませんでしたが、今考えるとそうだったのかなという気はします。

やはり家業でやられている方がまだ大多数ですか?
伊藤:はい。多いですね。
村口:最近は外から入ってくる人たちも増えていて、そういう人たちは私たちの年代の人が多いですね。あとは下の年代も増え始めたかなという感じはしますね。私たちみたいに何もない状態から始めるのではなくて、絞りの会社に入るという方が多いので、本当に基礎から学ばれていますね。染色までやっている会社は本当に限られていて、3、4社くらいなんですけど、そういうところだと染色を学ぶこともできますし、問屋さんだと絞り方を学んだりしているようです。

まり木綿さん自身は、技術をどうやって学ばれてきたんですか?
村口:技術は、大学の授業で最初に伺った、有松の張正という絞り屋さんで板締め絞りの基礎を教えていただきました。その後、久野染工場に通わせてていただいてるんですけど、久野さんのところもあまり板締め絞りを中心にやってきた工場ではなく、どちらかと言えば加工業だったので、自由にやってみたら良いんじゃないという感じで、独自のやり方でやってきたというか。誰かの弟子についたわけではないです。
村口:私たちがカラフルな色で染めたいと先生に相談したところ、大きい工場で染料もたくさん持っていて、社長の久野さんもすごく人柄の良い人だから、相談してみてはどう?とご紹介いただき、そこから今もお世話になってます。本当に広いし設備もいっぱいあって、チャレンジできることがいっぱいあるんですよ。

板締め絞りに特化し、そこをベースに独自の技術や感性を磨いてこられたんですね。
村口:板締め絞りというのは、今までおしめの柄として使われていた技法なので、あまり現代のお洋服を染める技法としては使われていなかったんです。そこに注目して、折り方を変えたりとか、筆で染色したりとか、柄を細かく出すようにして、アレンジした染色方法を使い、若い子が着れるように可愛い色を使ってお洋服にしたり、染めた手ぬぐいで小物を作ったりしています。板締め絞りをより世間の人たちに広げられる活動ができたかなと思います。

日々の生活に寄り添ったものを作っていらっしゃるんですね。
村口:私たちのブランドコンセプトである『伝統は鑑賞するものではなく、使い続けていくこと』をモットーに、私たちは日常の中で使いやすいものを作って販売しています。日常ではあまり使われなかった絞りの商品を、現代の人たちに板締め絞りという技法を伝えつつ、使っていただけたら良いなと思って。このため、比較的低価格の使いやすい小物にして販売していますね。

先ほどあったように、特に板締め絞りは仕上がりに変化がでてくるということですが、商品として、お客さんはその違いをどのように捉えていると感じますか?
伊藤:中には結構マニアックなお客さんもいらっしゃって、同じ柄でも微妙にその日によって柄の出方が違うので、同じ柄を沢山持ってらっしゃる方もいますし、先週に染めたものと、今週に染めたもので比べて吟味されて、また別のものとして買ってくださる方もいます。違いをB級品とかダメなところと捉えるよりは、良いところとして捉えてくださるお客さんが多いと思います。一個ずつ違って、比べて買えるというのを楽しまれています。

そういったところがやりがいにもなってくるんですね。逆に、何か働いていて辛いことはありますか?
村口:今ここにいても寒いと思うんですけど(笑)めちゃくちゃ寒いんですよ、冬は。私たち足袋も染めていて、筆で描いて染色をするんですけど、手がガチガチになって全然描けないことがあったりとか。

確かにヤバく寒いです(笑)
伊藤:あとやっぱり、夏は夏ですごく暑くて、基本的にクーラーはないので、下でボイラーを焚くことがあるんですけど、そうするとさらに蒸気で暑くなるので、もうサウナのようで(笑)環境としては季節によっての変動が大きいのかなと思います。

純粋な疑問なんですけど、お二人でやっていて、喧嘩したりしないですか?(笑)
伊藤:やっぱり二人にそれぞれの意見があるので、それが違えば話し合いをして解決していくという感じで、一週間喋らないとかそういうのはないですね(笑)険悪になったりするとやっぱり仕事に支障が出るので。日々やっていく中で、納得いかないところがあれば話し合う。それで新たに決め事を作って実践していきます。

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